書評
大村健二(編)「栄養塾 症例で学ぶクリニカルパール」
片多 史明
1
1亀田総合病院卒後研修センター神経内科
pp.1055
発行日 2010年7月20日
Published Date 2010/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103139
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どの診療科が専門であっても,臨床医として修得しておかなければならない基本的事項が,いくつかある.栄養管理は,感染症の診断・治療や,水分電解質管理と並ぶ,患者マネジメントの基本であり,臨床医必須の知識・技術である.しかし,栄養管理法・臨床栄養学について,卒前に十分な教育を実施している大学は,まだまだ少ない.卒後教育においても,各種疾患の診断・治療に重きが置かれる中で,栄養管理が長い間軽視されてきたことは否めない.専門学会を中心とした,臨床栄養の卒後教育の取り組みが実を結び,各施設でも栄養管理についての教育に目が向けられるようになったのは,まだつい最近のことである.
研修医に臨床栄養の講義をしていると,「栄養について勉強するのに,何か良い本はありますか?」という質問を受けることが多い.この質問を受けるたびに,いつも私は困っていた.分厚い臨床栄養学の専門書は確かにある.しかし,この分野の専門家を目指すわけではない医師の,限られた研修時間を費やすには効率が悪く,またよほどの心構えがない限り通読は困難である.内科学の教科書にも栄養管理の項目はある.だが全体のページ数のごく一部であり,そのほとんどが総論的事項である.2~3日で通読できて,臨床栄養学の全体を俯瞰することができ,なおかつ実践的な内容の本は……と考えると,答えに窮してしまうことが多かった.
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