JIM臨床画像コレクション
気腫性腎盂腎炎
中村 明澄
1
,
木村 琢磨
1
,
下田 泰彦
1
,
青木 誠
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
pp.1176
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903692
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症例は生来健康な63歳の男性.約1週間前より下腹部鈍痛と全身倦怠感が出現し,増悪するため当院外来を受診した.来院時,意識清明,血圧110/62mmHg,体温38.5℃,脈拍83回/分,呼吸数30回/分,胸腹部に異常所見を認めず,肋骨脊柱角の叩打痛や,直腸指診で圧痛はない.血液検査では,WBC 16.700/μl,CRP 36.3 mg/dl,Glu629mg/dl,BUN 53.8 mg/dl,Cr 2,65 mg/dl,HbAic 12.6%と代謝性アシドーシスを,尿検査で尿蛋白,尿糖,ケトン体を認め,糖尿病を基礎疾患にした感染症を強く疑い,広域抗菌薬の投与を開始した.
胸・腹部X線写真,腹部エコーで感染巣は不明であったが,腹腔内膿瘍などを疑い腹部造影CTを施行したところ,右腎実質と腎周囲腔に滲出性変化を疑わせる低吸収域を,その周囲に線状のガス像を認めた(表紙写真・上).気腫性腎盂腎炎と診断し,泌尿器科にて緊急手術となり,右腎実質の高度な融解のため腎摘出術が施行された.術後,エンドトキシン吸着を行い,腎機能は正常化し軽快退院した.なお,血液・尿培養から大腸菌が検出され起因菌と考えられた.
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