特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
D.開腹手術
■腎の手術
【腎移植術】
73.生体腎移植術を施行中,ドナー腎摘出術時に誤って尿管を途中で切断してしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。
浅野 友彦
1
1防衛医科大学校泌尿器科
pp.225-227
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101150
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腎移植の際の尿路再建術としては,尿管-尿管吻合ではなく,尿管-膀胱吻合が一般的に行われている。手術手技上の問題,血流障害,拒絶反応などの原因によって起こる腎移植後の尿路系の合併症の頻度は1~30%と報告されており,それほど稀なものとはいえない。このような合併症が起こったときに,対処法として移植尿管(腎盂)と自己尿管の吻合が行われることが多いが,そのような場合に備えてなるべく自己尿管を温存しておくために,初回の腎移植の際に尿路の再建法として尿管(腎盂)-尿管吻合が選択されることは少ない。
ドナー腎摘出術の際に,誤って尿管を途中で切断してしまい,膀胱に吻合することが困難であるときには,一次的に移植尿管(腎盂)-自己尿管吻合術が行われる。吻合法としては,移植腎の尿管(腎盂)と自己尿管との端々吻合が行われることが多い。以前は,免疫抑制状態で閉塞腎を体内に残すことによる感染のリスクを回避するために,尿管を結紮した場合には固有腎の摘除が行われていた。しかしながら最近では,閉塞した自己腎を摘除しない場合でも閉塞腎に感染を起こすことは稀であり,逆に自己腎摘除術による合併症のほうが問題とされるようになり,特殊な場合を除いて自己腎摘除が行われることは少なくなってきている1,2)。
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