特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
B.尿路内視鏡手術
【経尿道的前立腺切除術(TURP)】
39.経尿道的前立腺切除術(TURP)を施行中の患者です。術中にTUR syndromeが起こりました。どのように対処すればよいでしょうか。
松岡 啓
1
1久留米大学医学部泌尿器科
pp.126-127
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101116
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TUR syndromeはTUR反応1,2)とも呼ばれ,経尿道的前立腺切除術(TURP)施行の際に起こる独特の中毒症状である。TURPでは灌流液としてウロマチックTMを使用するが,低浸透圧で電解質を含んでいないので,この灌流液が体内に吸収されるとoverhydrationと低ナトリウム血症となる。一般に前立腺の静脈叢や骨盤の静脈では圧が約10mmHgであるとされている3)。したがって,いったん静脈叢が開くと前立腺部にかかる10mmHgより高い圧の灌流液はどんどん吸収されていく。
TUR syndromeの発生は手術時間に比例するので,開始後1時間から1時間半を経過すると注意が必要である。しかしながら,開始後早期に静脈洞を開いた症例は出現しやすいので,これにも注意が必要である。
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