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【症例1】 後大動脈性左腎静脈の症例
患 者 70歳,男性。
家族歴・既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 前医よりPSA 15.4ng/mlで紹介された。前立腺生検にて前立腺癌と診断し,画像診断でStage B2であったため前立腺全摘除術を施行した。
検査所見 一般血液像,血液生化学,尿検査に異常なし。PSA 16.9ng/ml。尿RBC 0~1/HPF。尿OB(-)。
画像所見 術前のCTでは,左腎静脈が大動脈の背側を横切り下大静脈に流入する像がみられた(図1)。
【症例2】 環大動脈左腎静脈の症例
患 者 23歳,男性。
家族歴・既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 自転車に乗っていたところ左側から来たバイクに衝突され30m飛ばされ,当院に搬送された。検査の結果左腎損傷(Ⅲc型),脾損傷(Ⅰ型),左第11,12肋骨骨折と診断。左腎は上極を中心に損傷を認め,周囲の血腫は一部骨盤に至った。循環動態が安定していたため,直ちに選択的腎動脈塞栓術を施行した。腎動脈造影にて造影剤の血管外漏出の多発を認めたため,左腎上極,中央の比較的太い動脈に対してゼラチンスポンジと金属コイルにて塞栓し,保存的に治療した。
検査所見 WBC 19100/mm3,Hb 11.7g/dl,Ht 35.0%,GOT 161,GPT 118,ALP 206,LDH 636,Cr 1.25,尿RBC多数/HPF。尿OB(3+)。尿PRO(3+)。
画像所見 受傷直後のCTでは左腎静脈の所見は明らかではなかったが,塞栓術の際に左腎静脈が環大動脈左腎静脈であると確認した(図2,3)。その後,受傷3週間後のCTで大動脈の腹側および背側を横切る左腎静脈を確認した(図4)。
【症例3】 重複下大静脈の症例
患 者 56歳,男性。
家族歴・既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 前医より頻尿にて紹介された。PSA 6.6ng/mlで前立腺生検を施行したところ前立腺癌と診断。画像診断でStage B2であったため前立腺全摘除術を施行した。
検査所見 一般血液像,血液生化学,尿検査に異常なし。尿RBC 0~1/HPF。尿OB(-)。
画像所見 術前のCTでは,両側の総腸骨静脈はそれぞれ左右の下大静脈となり,大動脈の左右を走行して,左下大静脈は左腎静脈と合流したあと大動脈の腹側を横切り,右下大静脈に合流した像を認めた(図5)。
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