異論・反論 泌尿器科術前・術後管理
3.手術後の血液検査は必要か
西畑 雅也
1
,
曲 人保
1
,
藤永 卓治
1
Masaya Nishihata
1
,
Inbou Kyoku
1
,
Takuji Fujinaga
1
1和歌山労災病院泌尿器科
pp.295-297
発行日 2005年4月20日
Published Date 2005/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100314
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1 はじめに
術後の血液検査値は,手術の侵襲に対する生体反応として侵襲の程度,手術部位,術式,術前の患者の全身状態などに応じ,経時的に変化すると予想される。たとえ治療を目的とした手術,麻酔,投薬であっても,生体の恒常性に変化をもたらす侵襲となる。この点は,病的な感染,出血,飢餓,疼痛,寒熱,さらには精神や環境変化などの刺激に対する反応と本質的な差はない1)。ただ,手術は生体に対し人工的,意図的に加えられた侵襲であるから,合併症がない限り,ほかの病的刺激に比べればその程度を把握しやすい。
術後の検査は本来,水・電解質,血液ガス,酸・塩基平衡など生命に直結する検査値を監視するとともに,術後合併症の予知に利用される。合併症の予知には,何より術前の詳細な病歴と身体所見,術前の検査の評価が必要であるが,手術という侵襲に伴う検査値の変動を知っておくことも大切である。また起こりうる合併症とその病態も理解する必要もある。
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