特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
6.内分泌疾患
■副腎・後腹膜の疾患
【原発性アルドステロン症】
71.腺腫による原発性アルドステロン症の手術後,血圧のコントロールが難しい患者です。対処と処方について教えて下さい。
簑和田 滋
1
1国立国際医療センター泌尿器科
pp.260-262
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100279
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1 診療の概要
原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は,副腎での自律的なアルドステロン過剰分泌のために高血圧,低カリウム血症などを呈する症候群であり,二次性高血圧の主要な疾患である。PAの病型のなかで最も多いのが片側性のアルドステロン産生腺腫(aldosterone-producing adenoma:APA〔狭義のPA〕),ついで両側性副腎皮質(球状層)過形成(特発性アルドステロン症:idiopathic hyperaldosteronism:IHA)が多くみられる(表1)1)。厚生労働省「副腎ホルモン産生異常症」調査研究班による1997年の全国調査ではAPAが84.4%,IHAが8.3%であった2)。IHAは欧米では25~35%と比較的に多くみられるが,わが国では低率である。アルドステロン産生副腎皮質癌,糖質コルチコイド反応性アルドステロン症,片側性過形成,異所性アルドステロン産生腫瘍はきわめて稀である。
副腎性高血圧のうちクッシング症候群や褐色細胞腫では腺腫,腫瘍の摘除手術により速やかに血圧は下降し正常化する。しかし,PAでは手術後速やかに血圧が改善するもの,正常化に至らず高血圧が遷延することも多い。斉藤ら3)が最近の治療報告をまとめた564症例の集計結果を示す(表2)。これによれば,高血圧の治癒率は全体で33~77%とばらつきがみられ,平均治癒率も57%と低値である。ほとんどの症例で血圧の改善は認められるものの,高血圧が治癒しない原因については以前からいろいろと検討されてきた4)。
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