特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
4.尿路結石
【尿管結石】
54.妊娠中,疼痛発作を起こした尿管結石患者です。対処と処方について教えて下さい。
滝花 義男
1
1山梨大学医学工学研究部泌尿器科
pp.192-194
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100262
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1 診療の概要
妊娠中の尿路結石は初産婦より経産婦が多いが,発症率は同年代の女性と比較して差がないと考えられている。疼痛発作により発見されることが多く,疼痛発作時の肉眼的血尿は37%に認められ,顕微鏡的血尿を含めると95%に血尿が認められる1)。尿路結石の疼痛発作は妊娠初期よりは中期や後期に症状が出現しやすく,一部の報告を除いて一般的には疼痛発作の左右差はないと報告されている。
妊娠中に疼痛発作を起こしたときに注意が必要なのは,妊娠による水腎症との鑑別である。妊娠中の水腎症は,プロゲステロンの影響や妊娠子宮による圧迫によって発生すると考えられている。特に妊娠子宮による圧迫が強くなる妊娠26週から28週にかけて水腎症は強くなり,30週までは進行する2)。実際に妊娠中期から後期ぐらいで背部痛が出現して水腎症がみられることがある。両側または片側にみられるが,80%は右側の水腎症が優位である。左側の水腎症が軽いのはS状結腸が左側にあるため,圧迫の程度が軽いと考えられている。妊娠中は顕微鏡的血尿もよくみられ,肉眼的血尿も出現することがある。妊娠中に疼痛発作が出現した場合,症状や水腎症の存在だけでは尿管結石か妊娠による水腎症かの鑑別は難しい。
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