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27th Congress of the Societe Internationale d'Urologie(SIU)が昨年10月3日から7日の5日間アメリカ合衆国ハワイ州ホノルルで開催されました。学会会場は,アメリカ在住歴5年にして初めてハワイを訪れた小生には当然知る由もない,あの有名なAla Moanaショッピングセンター近くのHawaii Convention Centerでした。ハワイはアメリカに帰属している認識は持ち合わせていましたが,ここまで日本化が浸透しているとは夢にも思いませんでした。衣・食・住(ホテル)で困ることはほとんどなく,ラーメン屋から焼肉,カレーライスとどこかで見たような有名店の日本語の看板など,いま私の住まいの近所より格段に充実しているようです。
SIUへの参加は今回初めてでした。国際色豊かで世界各国からハワイに誘われて参加してきたのでしょうか,中国語からドイツ語,日本語,フランス語,そしてたどたどしい英語などさまざまな言語が会場内を飛び交っていました。服装ですが,ハワイらしくアロハシャツを着こなしている人が多く散見され,専らスーツ姿なのは日本人をはじめアジア系の人たちのような気がしました。発表形式はSymposiumをはじめinvited speakerなどによるPlenary SessionやMain Session,そしてpodium session,moderated posterやnon-moderated posterに大別され,AUAの様相でした。近年自分の参加している国際学会は個人的な専門分野関連のAACRやASGTなどoncology関連が中心であり,AUAさながら非常に多岐にわたる,特に専門以外の分野の発表には新鮮さを感じました。中でも,5日火曜日朝のMain SessionでスペインのDr. David Castro Diazの“Incontinence:where are we now with botox and neuromodulation”では,OABを主体とした尿意切迫や尿失禁に対しボツリヌストシキシンである商品名Botoxを膀胱内注入するneuromodulationは,毒を逆手に取り治療に応用する,癌治療で最近見直されているサリドマイドさながらの発想かと親近感を覚え興味深く講演を聞き入っていました。また,小生はこの7月から奈良医大附属病院で始まった前立腺癌小線源療法に携わっており,これに関する演題発表に期待していましたが,米国以外の地域も日本同様欧州でもやっとスタートしたところだそうで,米国以外の情報はあまり得られませんでした。しかし,AUAではお馴染みのメディコン主催の寿司パーティーで,brachytherapyの講演にinvited speakerとして招かれていたDr. Mitchell Terk(Radiation oncologist, Baptist Regional Cancer Institute, Jacksonville, Florida, USA,かなりの大男でした)と知り合えたことは収穫でした。お酒の勢いもあったためでしょうか,Radiation oncologistになった動機から始まり,お互いの経歴についてため口を交わしていました。彼は今や時の人のようで,brachytherapyの宣教師として欧州をはじめ中国まで幅広く飛び回っているようです。Jacksonvilleからハワイのホノルルまでヒューストン経由でおよそ10時間かかったらしく,アメリカ国内といえ結構しんどいフライトで日本からのほうが近いのかなと妙な気がしました。膀胱癌のセッションでは,あのBCG膀注で有名なDr. Donald Lammがさっそうとグリーンのアロハシャツを着こなしmoderated posterの座長を務めていたのは印象的で,アメリカ人ならではの茶目っ気でしょうか,普段見られない姿かなとちょっと得をした気分になりました。
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