Japanese
English
症例報告
塩酸アミトリプチリンが奏効した剥脱性口唇炎の1例
A case of exfoliative cheilitis which responded to amitriptyline
谷口 彰治
1
,
幸野 健
2
,
山本 直樹
3,4
Shoji TANIGUCHI
1
,
Takeshi KONO
2
,
Noaki YAMAMOTO
3,4
1大阪鉄道病院皮膚科
2大阪市立大学医学部皮膚科学教室
3コロンビア大学医学部精神医学教室
4ニューヨーク州立精神医学研究所
1Department of Dermatology, Osaka General Hospital West Japan Railway Company
2Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
3Department of Psychiatry, College of Physicians and Surgeons of Columbia University
4New York State Psychiatric Institute
キーワード:
剥脱性口唇炎
,
塩酸アミトリプチリン
Keyword:
剥脱性口唇炎
,
塩酸アミトリプチリン
pp.819-821
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902655
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16歳,男性.約半年前より下口唇の落屑,びらんが出現し徐々に増悪,上口唇に拡大した.鱗屑を無理に剥がすと,一時軽快するが,すぐに再燃した.組織学的には不全角化を伴った粘膜上皮の肥厚,粘膜固有層での炎症細胞浸潤を認めた.真菌培養は陰性で,光線過敏性は証明されなかった.剥脱性口唇炎と診断し,白色ワセリン,尿素軟膏,副腎皮質ホルモンなどの外用を行うも効果なく,液体窒素による冷凍療法も効果は一時的であった.抗うつ剤の一種である塩酸アミトリプチリン(50mg/日)の内服を試みたところ4週間後に両口唇の発赤,腫脹は軽快,3か月後には薄い鱗屑の付着を認めるのみであった.自験例の発症要因は明確ではないが,抗うつ剤の一種が奏効し,神経学的および精神医学的要因が関与していた可能性を考えた.
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