Derm.'98
漢方薬処方に際し
桧垣 修一
1
1富山医科薬科大学皮膚科
pp.166
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902537
- 有料閲覧
- 文献概要
昨今各種皮膚疾患に対する西洋薬の治療薬,治療技術および診断技術等の進歩に著しいものがある.また,漢方薬が薬価収載後頻用され,古くから和漢薬が有名な富山でも各医療機関で使用されている.
小生なりに今まで漢方と細菌に関する基礎研究を行ってきたが,臨床の場で漢方薬投与に際し思うことを簡単に述べてみたい.まず薬局あるいは他の医療機関で漢方薬を既に服用している患者が意外と多いことである.問診で見落としがちになるが,同一漢方生薬内服量が過度にならぬように気をつけねばならない.このためには主要漢方薬の構成生薬程度はおおよそ把握する努力がいる.次に投薬期間の問題がある.医師は漠然と同一剤を長く処方するきらいがあると言える.患者側もそれで納得しがちだが,西洋薬と比較して曖昧という指摘もある.臨床効果の判定の難儀さもあるが,各皮膚疾患ごとの効果判定までの投与期間の設定や処方の変更も時に必要であると言える.昨今漢方薬の副作用の報告が増加してきている.せいぜい軽い胃腸症状程度と思いがちであるが,TEN型薬疹の報告や柴胡剤の重篤な副作用も指摘される今日,漢方薬も西洋薬同様の副作用の認識で対処していくべきである.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.