Japanese
English
症例報告
甲状腺機能低下症を伴った成年性浮腫性硬化症の1例
A case of scleredema adultorum with hypothyroidism
今 淳
1
,
野村 和夫
1
,
沢村 大輔
1
,
橋本 功
1
Atsushi KON
1
,
Kazuo NOMURA
1
,
Daisuke SAWAMURA
1
,
Isao HASHIMOTO
1
1弘前大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Hirosaki University School of Medicine
キーワード:
成年性浮腫性硬化症
,
皮膚ムチン沈着症
,
甲状腺機能低下症
Keyword:
成年性浮腫性硬化症
,
皮膚ムチン沈着症
,
甲状腺機能低下症
pp.420-422
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901874
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56歳,男性.甲状腺機能低下症で加療中.糖尿病はみられない.初診の4ヵ月前頃に項部から両肩にかけて板状硬結局面が出現した.局面は手拳大以上,紅色調で,中央部には更に胡桃大の皮下硬結を伴う.病理組織学的には,真皮全体の浮腫を伴った肥厚,線維芽細胞の増生を伴わない膠原線維の膨化断裂,および真皮中層から下層へのヒアルロン酸を主体としたグリコサミノグリカンとプロテオグリカンの沈着がみられた.以上の所見から成年性浮腫性硬化症と診断.ビタミンE内服とステロイド剤外用を開始し,開始後3カ月目までに板状硬結局面は平坦化した.従来,成年性浮腫性硬化症の発生誘因として甲状腺機能異常の報告はないが,グリコサミノグリカンおよびプロテオグリカンの代謝は甲状腺ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンの調節を受けることから,自験例における本症の発症には甲状腺機能低下が何らかの関与をしているものと考えられた.
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