特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1992
I 最近話題の疾患
Eosinophilia-myalgia syndrome
水谷 仁
1
,
水谷 智子
1
Hitoshi MIZUTANI
1
,
Tomoko MIZUTANI
1
1三重大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Mie University School of Medicine
キーワード:
eosinophilia
,
myalgia
,
L—トリプトファン
,
scleroderma
,
eosinophilic fasciitis
Keyword:
eosinophilia
,
myalgia
,
L—トリプトファン
,
scleroderma
,
eosinophilic fasciitis
pp.7-11
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900597
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筋肉痛と好酸球増多を主症状とする疾患が米国にて多数報告され,eosinophilia-myalgiasyndromeと名づけられた.今回我々は同様の2症例を経験したので,うち1例の概略とともに文献的紹介を行う.その臨床所見は,浮腫および紅斑で始まり,強皮症様の皮膚硬化を呈するようになる.かなり強い筋肉痛とともに,末梢神経障害,脱毛,呼吸困難等も報告されている.検査所見では好酸球増多は必発で他に血清アルドラーゼ上昇,IgE値上昇,X線異常等が認められる.治療には確立されたものはなく,重症のものではパルス療法が行われている.予後は約80%の患者が症状の軽快をみており,10%の患者で症状の完全消失を認めている.病因に関しては,日本で製造されたL—トリプトファンの製造過程で使用されたBacillus amyloliquefaciens(strain V)との関連が強く疑われており,問題のロットの分析によりpeak Eから強く認められ,この物質がEMSの発症と何らかの関係があると考えられている.
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