Japanese
English
症例報告
水銀肉芽腫の1例
A Case of Cutaneous Mercury Granuloma
中野 和子
1
,
原 洋子
1
,
川津 友子
1
Kazuko NAKANO
1
,
Yoko HARA
1
,
Tomoko KAWATSU
1
1関西労災病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kansai Rosai Hospital
キーワード:
皮膚水銀肉芽腫
,
水銀粒子の肺撒布
Keyword:
皮膚水銀肉芽腫
,
水銀粒子の肺撒布
pp.1069-1073
発行日 1990年10月1日
Published Date 1990/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900203
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
28歳,男性.初診,昭和62年1月27日.昭和61年12月,視力低下のため,近医に精査入院中,病室で水銀体温計が破損し,水銀を拾った.昭和62年1月22日,背部圧迫感を主訴に当院内科受診,胸部X線上,両肺野末梢に均一な顆粒状陰影多数存在.1月下旬,左前腕屈側に2個の有痛性紅色硬結が出現し,1個が自壊したため,当科受診.切開により銀色粒子が排出し,水銀と同定.生検にて,真皮から皮下に出血,膠原線維の壊死を認め,好中球,リンパ球を中心とする細胞浸潤,異物巨細胞を認めた.左前腕X線上,硬結部に一致して顆粒状陰影を認め,水銀粒子を周囲組織を含め切除し,植皮した.切除標本では,皮下に水銀粒子や,水銀粒子が脱落したあとの大小の丸い空隙とこれをとり囲む好酸球や異物巨細胞を認めた.血中,尿中水銀値の増加を認め,BAL投与.水銀の自己注入により生じた肉芽腫と推測している.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.