Japanese
English
原著
HTLV-Iと菌状息肉症との関連について—自験12例の検討
Mycosis Fungoides in Relation to HTLV-I—A Study of 12 Cases
黒木 康雅
1
,
田尻 明彦
1
,
川名 修徳
1
,
楢原 進一郎
1
,
阪口 英
1
,
小橋 正洋
1
,
緒方 克己
1
,
出盛 允啓
1
,
井上 勝平
1
Yasumasa KUROKI
1
,
Akihiko TAJIRI
1
,
Naganori KAWANA
1
,
Shinichirou NARAHARA
1
,
Ei SAKAGUCHI
1
,
Masahiro KOBASHI
1
,
Katsumi OGATA
1
,
Masahiro IDEMORI
1
,
Shouhei INOUE
1
1宮崎医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Miyazaki Medical College
キーワード:
HTLV-I
,
菌状息肉症
,
ポイキロデルマ
,
皮膚リンパ腫型ATL
Keyword:
HTLV-I
,
菌状息肉症
,
ポイキロデルマ
,
皮膚リンパ腫型ATL
pp.361-366
発行日 1990年5月1日
Published Date 1990/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900069
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
臨床・病理学的立場から,古典型の菌状息肉症と診断し,当科で加療した12例について検討した.12例中,抗HTLV-I抗体陰性群と陽性群は各々6例ずつであり,平均年齢は陽性群が陰性群に比してかなり高齢であった.皮疹型は,陰性群が全例ポイキロデルマの性状が混在していたのに対して,陽性群は早期から,浸潤性紅斑や腫瘤を形成する傾向があった.白血化や高Ca血症の合併は陽性群のみにみられ,血清LDH値も陽性群でより高い傾向が得られ,予後も陰性群が全例生存しているのに対して,陽性群はすべて死亡しており,両群間に明らかな相違が認められた.以上の症例解析から,当科では,浸潤性紅斑や腫瘤を形成したATLの皮膚リンパ腫型と思われる症例を,抗HTLV-I抗体陽性の菌状息肉症と診断,治療し,論文としても発表してきたが,両群は,治療方針の決定や予後の面からみても,区別して対処すべきであると,現在は考えている.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.