連載 Clinical Exercise・203
Q考えられる疾患は何か?
石川 武子
1
1帝京大学医学部皮膚科学講座
pp.545-546
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207351
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■症 例■
患 者:68歳,男性
主 訴:顔面,頸部,手の瘙痒を伴う皮疹
既往歴・家族歴:特記すべきことなし.
職業歴:20年前から葬儀屋の仕事に従事
現病歴:約20年前に葬儀屋の仕事を始めたころから,瘙痒を伴う皮疹が上肢に出現するようになった.10年前から顔面・後頭部にも拡大し,夏には開襟三角部や肩などのランニングシャツから露出する部位にも皮疹が出現し,2年前には皮疹はさらに増悪してきた.
現 症:眼囲を除く顔全体,下顎下面と後頸部に著明な苔癬化を伴う紅斑を認め,特に前額部・鼻背部では強い浸潤を伴っていた(図1a).頭皮全体は淡い紅斑であった.手背や指背には苔癬化を伴う紅褐色局面がみられ,手掌には粟粒大の小水疱がびまん性に散在していた.指腹の先端部には落屑を伴っていた(図1b).ランニングシャツより露出していた部位には炎症後の色素沈着がみられたが,非露出部位には皮疹は認めなかった.
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