Japanese
English
症例報告
発症から20年近く診断に至っていなかった特発性トラキオニキアの1例
A case of idiopathic trachyonychia undiagnosed for almost twenty years
松梨 智子
1
,
細川 僚子
1
,
川島 裕平
1
,
松崎 ひとみ
1
,
角田 梨沙
1
,
齋藤 昌孝
1
Tomoko MATSUNASHI
1
,
Ryoko HOSOKAWA
1
,
Yuhei KAWASHIMA
1
,
Hitomi MATSUZAKI
1
,
Risa KAKUTA
1
,
Masataka SAITO
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
特発性トラキオニキア
,
twenty-nail dystrophy
,
爪母
,
湿疹
,
閉鎖密封療法
Keyword:
特発性トラキオニキア
,
twenty-nail dystrophy
,
爪母
,
湿疹
,
閉鎖密封療法
pp.435-440
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207324
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要約 23歳,女性.約20年前より指趾爪甲に粗糙化がみられ,複数の医療機関を受診したが診断がつかず,当科を紹介され受診した.初診時,すべての指趾爪甲が縦条と縦溝によって粗糙化し,近位爪郭には発赤と腫脹が認められ,瘙痒を伴っていた.爪母から行った生検では,爪母上皮に海綿状態がみられた.爪症状との関連が疑われる疾患を他に認めず,特徴的な臨床像と病理組織所見から,本症例を特発性トラキオニキアと診断した.近位爪郭部皮膚へステロイド外用薬の閉鎖密封療法を行ったところ,近位爪郭の発赤と腫脹,さらに瘙痒は改善し,爪甲の縦条と縦溝も減少した.本疾患の病態は爪母の湿疹性変化と考えられているが,本邦ではその疾患概念があまり周知されていない.しかし,トラキオニキアはそれほど稀な疾患ではないことから,特徴的な臨床像と治療の考え方を理解しておくことが皮膚科医には求められる.
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