Japanese
English
増刊号特集 最近のトピックス2024 Clinical Dermatology 2024
4.皮膚疾患治療のポイント
トラロキヌマブによるアトピー性皮膚炎の治療
Treatment of atopic dermatitis by tralokinumab
山中 恵一
1
Keiichi YAMANAKA
1
1三重大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Mie University, Graduate School of Medicine, Tsu, Japan
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
トラロキヌマブ
,
Interleukin-13
,
Interleukin-4
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
トラロキヌマブ
,
Interleukin-13
,
Interleukin-4
pp.100-105
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207279
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
summary
トラロキヌマブ(tralokinumab)はアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis : AD)の発症や病態形成に関与する2型サイトカインIL-13に特異的に結合し,IL-13を介したシグナル伝達を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体製剤である.これまで海外の複数国において中等症から重症のAD治療薬として使用されている.日本でも2023年9月より使用可能となった.本項では中等症から重症の成人AD患者を対象としたトラロキヌマブの国際共同臨床試験ECZTRA3の結果と,国際共同第Ⅲ相臨床試験の長期延長試験における日本人の中間解析結果(J-ECZTEND試験)を示した.長期にわたる持続的改善効果が示され,トラロキヌマブは中等症から重症の日本人成人AD患者に対する有用な治療選択肢になると考えられる.結膜炎などの副作用発症の頻度の少なさからも安心して使用できる.IL-4を制御せず,IL-13を単独で抑制する意義に関しては,IL-13がADの病変部皮膚に絶対的に産生量が多く,慢性化につれて発現の増加がみられる点,IL-4/IL-13阻害薬にて治療介入を行ってもIL-13産生レジデントメモリーT細胞が長期間生存する事実,IL-4/IL-13の両者の阻害では結膜の杯細胞からのムチン産生を低下させ結膜炎の発症リスクを上げる点が挙げられるが,今後のトラロキヌマブの使用によって,真の重要性を検証していく必要がある.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.