マイオピニオン
最近の高額薬剤などの適正使用に関する考え方
福田 知雄
1
Tomoo FUKUDA
1
1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科
pp.670-671
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206758
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1. 医療費の高騰に関して
本邦の医療費高騰の問題は言われて久しく,厚生労働省統計一覧から国民医療費の推移をみると,私が医師になった1987年18兆円であった国民医療費は2019年(令和元年)には44.4兆円弱に跳ね上がっている.年間1人当たりの医療費は,現在,国民平均が約30万円に対し,75歳は75万円,80歳では90万円である.要介護者の比率は,65歳は3%程度だが,75歳では15%,80歳では30%,90歳になると70%へと急上昇する.このように医療費の高騰の主原因が高齢化にあることは疑いの余地はないが,最近の高額薬剤の増加がそれに拍車をかけているのは否めない.皮膚科領域においても生物学的製剤,免疫チェックポイント阻害薬を中心とした癌治療薬など,高額な薬剤が次々に上市されてきている.団塊の世代が後期高齢者となる2025年には財政破綻を迎える可能性が危惧されている.高額な薬剤は無秩序に使ってよい薬剤ではなく,対象患者をしっかりと選ぶ必要がある.選ぶ立場にあるわれわれ医師の責任はきわめて重いと考える.
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