Japanese
English
症例報告
Baker囊胞破裂と続発する深部静脈血栓症とをきたした1例
A case of deep vein thrombosis secondary to rupture of Baker's cyst
新川 紗由香
1
,
新川 宏樹
1
,
大塚 友貴
2
,
舩越 建
1
Sayuka ARAKAWA
1
,
Hiroki ARAKAWA
1
,
Yuki OTSUKA
2
,
Takeru FUNAKOSHI
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
2慶應義塾大学医学部
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Baker囊胞破裂
,
深部静脈血栓症
,
蜂窩織炎
Keyword:
Baker囊胞破裂
,
深部静脈血栓症
,
蜂窩織炎
pp.450-454
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206707
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要約 74歳,男性.初診1週間前頃に誘因なく生じた右下腿の疼痛と,その後に続発した同部の発赤・腫脹から蜂窩織炎を疑い当科に入院した.入院時施行の下肢静脈超音波検査で血栓はみられなかった.入院後の下肢挙上安静および抗菌薬加療にて,炎症所見は改善したが,D-dimer上昇および右下腿の把握痛増強あり,造影CTを実施しBaker囊胞破裂と診断した.さらに遠位の膝窩静脈に血栓像がみられた.Baker囊胞は通常無症状であるが,腫大や破裂により脛骨神経・膝窩動静脈を圧排しうる.また,破裂により,周囲組織は炎症や出血をきたし下肢の発赤・腫脹・疼痛の原因となる.続発した深部静脈血栓症から肺血栓塞栓症に至った症例も報告されており,下肢の発赤・腫脹・疼痛を診た際には,稀ではあるが本疾患を鑑別に置く必要がある.膝窩の膨隆や脛骨神経圧迫による感覚障害の確認と超音波検査により早期発見ができる可能性が高い.
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