Japanese
English
症例報告
Spirometra ranarumによる孤虫症の1例
A case of sparganosis of Spirometra ranarum
倉地 祐之眞
1,2
,
渡辺 絵美子
2,3
,
小林 正規
4
,
田島 誠也
5
,
鈴木 淳
6
,
宮川 俊一
2
Hironoshin KURACHI
1,2
,
Emiko WATANABE-OKADA
2,3
,
Seiki KOBAYASHI
4
,
Seiya TAJIMA
5
,
Jun SUZUKI
6
,
Shunichi MIYAKAWA
2
1日本鋼管病院皮膚科
2川崎市立川崎病院皮膚科
3済生会横浜市東部病院皮膚科
4慶應義塾大学医学部感染症学教室
5川崎幸クリニック皮膚科
6東京都健康安全研究センター微生物学部食品微生物研究科
1Division of Dermatology, Nippon Koukan Hospital, Kawasaki, Japan
2Division of Dermatology, Kawasaki Municipal Hospital, Kawasaki, Japan
3Division of Dermatology, Saiseikai Yokohamashi Tobu Hospital, Yokohama, Japan
4Department of Infectious Disease, Keio University, Tokyo, Japan
5Kawasaki Saiwai Clinic, Kawasaki, Japan
6Division of Food Microbiology, Department of Microbiology, Tokyo Metropolitan Institute of Public Health, Tokyo, Japan
キーワード:
Spirometra ranarum
,
孤虫症
Keyword:
Spirometra ranarum
,
孤虫症
pp.1077-1083
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206225
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要約 54歳,女性.約10年前より腹部や両下肢に有痛性の皮下結節が出没するようになった.初診時には腹部,両下肢に圧痛を伴う長径約1cmの索状皮下結節を認め,血栓性静脈炎や脂肪織炎が疑われた.右大腿の皮下結節を生検のため切開したところ,皮下より白色紐状の生きた虫体が2匹出現した.虫体の病理所見では消化管や生殖器を認めず,内部に石灰化小体を有しており,条虫の幼虫と考えられた.虫体の遺伝子解析により,スピロメトラ属に属する裂頭条虫であるSpirometra ranarumによる皮膚幼虫移行症と診断した.経口感染が推定されたが,感染経路は特定できなかった.皮下結節が出没する場合は鑑別として孤虫症の可能性も考慮し,食習慣などの生活歴を十分に聴取するべきである.孤虫症が疑われた場合は虫体を摘出することが望ましく,積極的に生検を行うべきである.
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