Japanese
English
症例報告
ラジウムによる放射線治療部に生じた基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma occurring after radium irradiation
真島 瑛美
1
,
尾本 大輔
1
,
廣正 佳奈
2
,
吉岡 学
1
,
中村 元信
1
Emi MASHIMA
1
,
Daisuke OMOTO
1
,
Kana HIROMASA
2
,
Manabu YOSHIOKA
1
,
Motonobu NAKAMURA
1
1産業医科大学皮膚科学教室
2JCHO九州病院皮膚科
1Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu, Japan
2Division of Dermatology, Japan Community Health Care Organization Kyushu Hospital, Kitakyushu, Japan
キーワード:
基底細胞癌
,
放射線皮膚炎
,
ラジウム照射
,
血管腫
Keyword:
基底細胞癌
,
放射線皮膚炎
,
ラジウム照射
,
血管腫
pp.161-164
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204997
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要約 87歳,女性.1歳時に右顔面血管腫へのラジウム治療歴がある.初診2か月前より右耳輪部のびらんと褐色結節を自覚した.前医での皮膚生検で基底細胞癌と診断され当科紹介受診した.病理組織学的に表皮と連続し周囲と裂隙形成のある腫瘍塊を認めた.びらん周囲の紅斑部では表皮の萎縮,真皮膠原線維束の浮腫,膠原線維の不規則な走行を認めた.右耳介後部基底細胞癌,慢性放射線皮膚炎と診断した.幼児期のラジウム治療が発癌の要因と考えた.慢性放射線皮膚炎上に生じる悪性腫瘍は,重度障害部位には有棘細胞癌が,比較的軽度の部位には基底細胞癌が発生しやすく,いずれも30年前後の潜伏期間があるとされる.ラジウム照射後の皮膚悪性腫瘍にはこれまで9例の報告があり,ほとんどが数十年の潜伏期間の後に生じた基底細胞癌であった.
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