マイオピニオン
悪性黒色腫の臨床試験
宇原 久
1
Hisashi UHARA
1
1信州大学医学部皮膚科
pp.556-557
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204827
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1. はじめに
2014年7月4日,世界初の抗PD-1抗体としてニボルマブが日本で承認されました.この連絡は,臨床試験を主導してきた国立がん研究センター中央病院の山﨑直也先生が会長を務めた第30回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会中の,まさに癌免疫療法のセッション中に入りました.さらに,2014年12月にはBRAF阻害剤のベムラフェニブ,2015年の4月には術後アジュバント療法としてのPEG修飾型IFNα-2b,7月には抗CTLA-4抗体のイピリムマブ,2016年3月にBRAF阻害剤のダブラフェニブ(dabrafenib)とMEK阻害剤のトラメチニブ(trametinib),と新薬の承認が続いています.また,抗PD-1抗体のpembrolizumabは申請中であり,さらに術後アジュバント療法としてのニボルマブとイピリムマブの比較試験(募集終了)やpembrolizumabの試験,進行期に対するBRAF阻害剤のLGX818とMEK阻害剤のMEK162(募集終了),ニボルマブとイピリムマブの併用療法(募集中)などの試験が進行中です.30年ぶりに新薬が相次いで登場してきたこの2年間はとても華々しく見えます.しかし,これらの出来事は皮膚癌診療の向上と後継者の指導に心血を注いできた医師たちの半世紀にわたる努力の積み重ねの上に起きていることです1,2).先陣を切ったニボルマブを例に,新薬の開発の経緯について紹介します.
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