病気のはなし
悪性黒色腫
斎田 俊明
1
1信州大学医学部皮膚科
pp.716-721
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100962
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サマリー
悪性黒色腫(メラノーマ)は色素細胞が癌化した腫瘍であり,黒褐色調の皮膚病変としてみられる.転移を生じやすく悪性度の高い腫瘍だが,原発巣の厚さが1mm以下の早期病変であれば小範囲の切除のみで完治する.本腫瘍は臨床診断,組織診断ともに難しく,しばしば誤診される.臨床診断には病変の大きさ,形状,色調,表面の性状の評価が重要であり,ダーモスコピーも診断確定に有用である.治療は,原発巣の厚さ計測,センチネルリンパ節生検の結果などに基づいて病期を決定し,適切な治療方針を選択する.本腫瘍は抗がん薬に極めて抵抗性で,進行期症例に有効な治療法は存在しない.樹状細胞療法や分子標的療法など新規治療法の開発が進められている.
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