特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【各論】
Ⅳ 臓器横断的な考え方を要する婦人科悪性腫瘍
2.悪性黒色腫
矢野 光剛
1,2
,
奈須 家栄
1,3
M. Yano
1,2
,
K. Nasu
1,3
1大分大学医学部産科婦人科学講座
2埼玉医科大学国際医療センター病理診断科
3大分大学医学部地域医療支援システム・産婦人科分野
pp.1536-1542
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001976
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悪性黒色腫はメラノサイトががん化したものであり,皮膚原発が最も多い。婦人科領域では外陰や腟原発の頻度が高く,稀に子宮頸部や卵巣にも発生する。手術を中心に集学的治療が行われてきたが,その予後は不良であった。しかしながら近年,悪性黒色腫ではv-raf murine sarcoma viral oncogene homolog B1(BRAF)遺伝子変異に対するBRAF阻害薬やMAPK/ERK Kinase(MEK)阻害薬,KIT遺伝子変異に対するチロシンキナーゼ阻害薬(わが国未承認),またprogrammed cell death-1(PD-1)/programmed cell death ligand-1(PD-L1)やcytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4(CTLA-4)を介した免疫チェックポイント阻害薬など,治療におけるブレイクスルーが起こっている。それらのエビデンスは主に皮膚原発悪性黒色腫に対するものであることに留意が必要ではあるが,婦人科領域の悪性黒色腫の不良な予後に鑑みるに積極的な新規薬物治療の導入による予後の改善が期待される。本稿では皮膚や粘膜悪性黒色腫の従来の治療,近年に起こった治療のブレイクスルー,今後起こりうる治療の変化に焦点をあてながら,婦人科臓器原発の悪性黒色腫に対する治療戦略を概説する。
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