Derm.2016
悪性黒色腫治療—今後の課題
浅井 純
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学
pp.160
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204768
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2014年7月に免疫チェックポイント阻害剤の1つである抗PD-1抗体ニボルマブが進行期悪性黒色腫の新規治療薬として承認されたことを皮切りに,2015年2月にBRAF阻害剤ベムラフェニブが,さらには2015年8月にもう1つの免疫チェックポイント阻害剤である抗CTLA-4抗体イピリムマブが承認された.これらの新薬が使用できるようになってから,進行期悪性黒色腫患者の予後は大幅に改善されるようになった.さらには今後,ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法やペンブロリズマブなどさらなる新薬の登場が期待されている.患者にとっては新たなる希望が増え,喜ばしいことである.しかし,医師側にとっては治療の選択肢が広がれば広がるだけ,悩みが増えることになる.これらBRAF阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤を必要とする患者の多くは生命予後1年あるかどうかという状態であり,それぞれの患者にとって最良の治療法を迅速に選択しないといけない.特に,免疫チェックポイント阻害剤には薬が劇的に効く,いわゆる“スーパーレスポンダー”が存在する.もしスーパーレスポンダーを特定できるバイオマーカーが発見できれば,手遅れになる前に適切な治療を行うことができるようになるだろう.悪性黒色腫に対して新たな治療の選択肢が増えた今,標準的治療法の確立とともにこれら新薬の有効性を予測するバイオマーカーの発見がこれからの課題であり,皮膚悪性腫瘍を専門とする私もそこに関わっていけたら,と思う.
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