Japanese
English
原著
シンナーによる一次刺激性皮膚炎
Primary Irritant Contact Dermatitis Due to Thinner
青島 敏行
1
,
久野 信一郎
2
,
堂阪 直子
3
Toshiyuki AOSHIMA
1
,
Shin-ichiro KUNO
2
,
Naoko DOSAKA
3
1大津赤十字病院皮膚科
2大津赤十字病院内科
3京都大学医学部皮膚科教室
1Division of Dermatology, Otsu Red Cross Hospital
2Division of Internal Medicine, Otsu Red Cross Hospital
3Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.1027-1030
発行日 1987年12月1日
Published Date 1987/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203793
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18歳,男子の塗装作業中に生じたシンナーによる中毒および皮膚障害を報告した.受傷時の詳細は不明な点が多いが,作業中意識を失って倒れ,床にたまっていたシンナーが衣服につき,それが皮膚に接触したものと思われる.来院時,意識レベルは覚醒しているが見当識障害があり,シンナー臭が強かった.皮膚症状は右肩,背部,右上腕に広い潰瘍があり,右手背,前腕,腰部,大腿部に糜爛が点在,紅斑,水疱も認められる.皮疹が衣服の縫い目,雛に一致して不整形を呈するものもある.水疱蓋組織像は表皮細胞の核濃縮,細胞質の均質無構造化を示すものの,染色性は保たれ,細胞間浮腫は軽度である.本例は翌日には意識回復,1週間後には表皮形成完了し,10日後に退院した.シンナーによる皮膚障害の報告は文献的にも少なく,稀な症例と考えられる.
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