講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・5
「シンナー」・薬物依存
和田 清
1
Kiyoshi WADA
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部
pp.333-336
発行日 1993年5月15日
Published Date 1993/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900803
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1.はじめに
「シンナー遊び」と聞くと,「しょうもない」と連想されそうである.この「しょうもない『シンナー遊び』」は,正式には有機溶剤乱用と言う.現在の「シンナー遊び」は,1967年頃の東京新宿駅東口にたむろしていた「フーテン族」に起源があると言われている.それ以来,すでに25年以上経つにもかかわらず,1991年の送致人員は27,175人であり(うち84%は未成年者)1),補導された者も含めると1990年には51,707人(大阪府警察本部調べ)を数えており,これは過去最高の数字である.
この「しょうもないシンナー遊び」が,どうしてこれほど長くにわたって続いているのか検討することは,単に薬物乱用問題からの視点にとどまらず,今日の10代の心性を考えるためにも重要なことと思われる.
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