Japanese
English
原著
鼻部軟骨に浸潤した基底細胞上皮腫の1例
A Case of Basal Cell Epithelioma with Invasion into Nasal Cartilage
長谷川 隆
1
,
黒田 啓
1
,
伊藤 達也
1
,
小林 まさ子
1
,
岡本 昭二
1
,
一瀬 正治
2
Takashi HASEGAWA
1
,
Kei KURODA
1
,
Tatsuya ITOH
1
,
Masako KOBAYASHI
1
,
Shoji OKAMOTO
1
,
Masaharu ICHINOSE
2
1千葉大学医学部皮膚科教室
2帝京大学医学部形成外科
1Department of Dermatology, Chiba University School of Medicine
2Department of Plastic Surgery, Teikyo University School of Medicine
pp.739-743
発行日 1986年8月1日
Published Date 1986/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203508
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88歳,女性.十数年前に左下眼瞼に皮疹出現.5年前にBCEの診断を受けたが高齢のために手術しなかったところ,数カ月前より急速に増大し,左下眼瞼より鼻頬部にかけて5×6cmの,一部に潰瘍を伴う腫瘤となった.所属リンパ節は触知しないが,X-Pで上顎洞への浸潤像を認めた.そこで全麻下に眼窩内容摘出,部分上顎洞切除を含む広汎切除を施行した.組織像にて腫瘍は浅部ではsolid typeに,深部では不規則に錯綜し,鼻部軟骨にも浸潤していた.術後6カ月の現在,再発を認めない.多くのBCEは長期間放置されていても良好の経過をとるが,時には自験例の如く巨大化し,著明な局所破壊性を示すこともある.今後,さらに高齢化社会を迎えるに当たり,同様の症例が増加することが予想される.第一選択の治療法は手術療法であるが,高齢であることが手術禁忌とはならない.時期を失うことなく早期診断と早期手術療法をすべきであることを強調した.
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