Japanese
English
原著
Giant Cell Tumor of Tendon Sheathの1例
A Case of Giant Cell Tumor of Tendon Sheath
北島 淳一
1
,
濱田 稔夫
1
,
長濱 萬蔵
2
,
櫻根 弘忠
3
Jun-ichi KITAJIMA
1
,
Toshio HAMADA
1
,
Manzo NAGAHAMA
2
,
Hirotada SAKURANE
3
1大阪市立大学医学部皮膚科教室
2大阪市立城北市民病院皮膚科
3櫻根皮膚科医院
1Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
2Division of Dermatology, Osaka Municipal Shirokita Hospital
3Sakurane Dermatological Clinic
pp.477-481
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203048
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19歳,女性の左小指末節指腹に生じたgiant cell tumor of tendon sheathの1例を報告した.約10年前に該部に外傷の既往がある.臨床的には小豆大,弾性硬の可動性に乏しい皮下結節で,表面皮膚は淡赤紫色を呈し,軽度の疼痛と著明な圧痛を認めた.病理組織学的には結合織性被膜を有し,単核ないし多核の組織球様細胞,多核巨細胞および膠原線維性結合織が胞巣状構造を呈し,硝子様変化やヘモジデリンの沈着もみられた.またBodian染色にて神経線維が認められた.摘出時,腫瘍と下部組織との癒着が認められた.以上より自験例を滑液膜より発生したgiant cell tumor of tendon sheathと診断した.本症は通常,手指に生じる場合は無痛性であり,自験例の如く著明な圧痛を伴う例は特異と思われる.本症は手指に生じる良性軟部腫瘍のうち頻度の高いものであるが,再発率の高いことが特徴であり,本症の可能性がある場合は十分な皮膚切開を加えて摘出術を施行することが望ましいと思われた.
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