Japanese
English
原著
悪性血管内皮細胞腫と第VIII因子関連抗原
Factor VIII in Malignant Hemangioendothelioma
赤城 久美子
1
,
清野 和子
1
,
北郷 修
1
,
坂東 正士
2
,
椎名 芳男
2
,
村瀬 卓平
3
,
林 幸子
4
Kumiko AKAGI
1
,
Kazuko SEINO
1
,
Osamu HONGO
1
,
Masashi BANDO
2
,
Yoshio SHIINA
2
,
Takuhei MURASE
3
,
Yukiko HAYASHI
4
1東京都立駒込病院皮膚科
2東京都立駒込病院形成外科
3東京都立駒込病院内科
4東京都立駒込病院病理科
1Department of Dermatology, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital
2Department of Plastic Surgery, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital
3Department of Internal Medicine, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital
4Department of Pathology, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital
pp.543-547
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202859
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
67歳,男の左側頭部に生じた典型的な悪性血管内皮細胞腫の1例.4カ月前から小腫瘤が出現し,難治性の潰瘍を形成.広範囲切除植皮術を施行したが,3カ月後に再発.再び切除,化学療法,放射線照射を行なったが脳転移をきたして死亡した.組織像は紡錘形ないし卵円形の異型性の強い腫瘍細胞が増殖して,一部に管腔の形成がみられる.今回われわれはPAP法(peroxidase-antiperoxidase complex method)によって,この腫瘍細胞内に第VIII因子関連抗原が局在しており,腫瘍細胞が管腔を形成する部位では特に強く染まることを認めた.さらに他の血管性病変にもこの方法を用いて検討し,正常の毛細血管,小動静脈の血管内皮細胞が特に強陽性で,悪性血管内皮細胞腫では染色性が低下していることを観察した.第VIIII因子関連抗原は血管内皮細胞の特異的markerであり,腫瘍性病変の由来や血行の動態を知る上で,重要な物質である.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.