これすぽんでんす
多彩な臨床像を伴うT型癩の1例—白井氏らの論文を読んで
肥田野 信
1
1東京女子医科大学
pp.625
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202661
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水疱を生じたために類天疱瘡や疱疹状皮膚炎と長らく誤診されていた癩症例であり,興味深く読ませて頂いた(本誌36巻1号−1982年1月).
癩には時に水疱を生ずることがあって,古くは記載皮膚科学的に癩性天疱瘡と呼ばれたが,その実態については必ずしも明らかでない。大部分は無自覚で受けた熱傷や外傷によると想像されるが,かかる要因なしに特発性に生ずる水疱があるのかどうか,あるとすればその組織像や成因はどうか,今日の知見はまだ乏しい.著者らは水疱自体を観察された訳ではないようで,その臨床,組織学的記載が見当らないのは誠に惜しい気がする.現病歴の記載からすると四肢に水疱を生じ,類天疱瘡を疑わせた所から熱傷に起因するのみでは片づけられないような気もする.
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