Solitary Trichoepitheliomaの3例

Three Cases of Solitary Trichoepithelioma

　3例のsolitary trichoepitheliomaを報告した．3例とも家族には同症の発生はなく，臨床的には単発の表面平滑の半球状腫瘤で，組織学的には基底細胞様細胞，棚状配列，角質嚢腫，毛球部様構造，豊富な間質の発達がみられた．本腫瘍は定型例（症例2）のほか一部に分化度の高いtrichofolliculoma様構造をもつもの（症例1），そのほか基底細胞上皮腫様構造を示すもの（症例3）などがあり，症例により一様の分化がみられなかった．すなわち毛嚢組織への分化の過程に成熟度の異なる種々の段階の上皮性腫瘍構築が認められる．したがって毛嚢への分化の程度を腫瘍の全貌より判断してtrichoepitheliomaと基底細胞上皮腫との鑑別点としたい．