原著
いわゆるWashboard Thumbnailsの1例
滝野 長平
1
,
有田 里加
1
Chohei TAKINO
1
,
Rika ARITA
1
1九段坂病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kudanzaka Hospital
pp.627-630
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201621
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拇指爪のみならず示指爪にも両側性にみられた25歳女性例.発症は物心がついた頃よりでその経過は長い.患爪には中央部を縦走する帯状の陥凹面と同部にほぼ等間隔に横走する一連の幅の狭い小隆起がみられ,ちようど洗濯板の外観を呈した,原因として拇指爪では同側示指爪の先端,また示指爪では同側拇指を支えとし同側中指尖で習慣性に無意識のうちに強く圧迫し,爪あるいは指をもてあそぶ病癖の存在することを認めた.矢田部・ギルフォド性格試験ではB'型(不安定不適応積極型の傾向を示す)の成績が得られた.
本症に関する文献は少なく,未解決のまま残された問題も多々あり,あらたな症例の追加ならびに研究が望まれるが,そのためにも本症の独立症としての臨床上の地位を確立し,一般の関心を高めるべきことを強調した.また病名としては簡にして要を得たものであることが望ましいが,一案としてHabit tic nail dystrophyを提案した.
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