Japanese
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講座
皮膚の老化
AGING OF THE SKIN
小堀 辰治
1
Tatsuji KOBORI
1
1東京逓信病院皮膚科
1Division of Dermatology, Tokyo Teishin Hospital
pp.770-779
発行日 1974年11月1日
Published Date 1974/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201363
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I.加令を示す器官としての皮膚
江戸時代,尾張藩の重臣,横井也有が老化をあらわす7つの狂歌をよんでいる.それをここに記すると「しわはよる,ホクロはできる,背はかがむ,頭ははげる,毛は白くなる」,「手は震う,足はよろつく,歯は抜ける,耳は聞えず,目はうとくなる」,「よど(ヨダレ)たらす,目しるは絶えず,はなたらす,とりはずしては小便もるる」,「またしても同じうわさに孫自慢,達者自慢にわかきしやれごと」,「くどうなる,気短かになる,ケチになる,思いつくことみな古うなる」,「聞きたがる,死にともながる,さびしがる,出しやばりたがる,世話やきたがる」であるが,老化をあらわして誠に適切で,その中でも,最初の句は皮膚老化の諸徴候を端的に示している.
皮膚科教科書をひもどくと,その皮膚生理の項に,保護作用,温熱調節作用などが列記してあるが,皮膚の作用にはこの外に,第二次性徴作用,加令表現作用があると著者は考えている.
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