印象記
考える皮膚科学をめざして—第72回日本皮膚科学会
大久保 達也
1
1神戸大学医学部皮膚科教室
pp.908-912
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201226
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
おそらく次回開催地の縁でお鉢が廻つて来たものと思うが,毎年群衆の中の一人として参加している自分が,次の学会事務を担当する身になつてみると,プログラムの編成,会場の位置,大きさ,参加人数,受付のスペース,その処理の方法,会議の進行,スライド映写の具合など,とかく裏方の方に心が配られて,学会の印象を書けといわれても視点が学会の内容そのものより,運営の方法に移動していて,このような学術誌には不適当ではないかとも考えたが,所詮,学会印象記なるものは一種の自慰行為のようなもので,読者の意図するところと合えば良く,合わないでも大きな害とはなるまいと考えてお引受けした次第である.
いずれの学会においても初日は歯車の動きがギシャグシャして緊迫感のうちに駆動を開始し,徐々にクレセンドして中日に盛上がり,最終日になると峠を越えた安堵感とともに多少浮足立って来るものである.主催側としては何とかして最後までダレることなく会を盛上げて,ワッと終りたいと願われることであろう.そこに学会の運営に対する技術と妙味のようなものを感じられ,一種のゲームのような緊張と期待と祈りのうちに終始されるであろうと推察される.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.