綜説
Keratoacanthoma
森岡 貞雄
1
Sadao MORIOKA
1
1日本大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology; Nihon University School of Medicine
pp.465-479
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201155
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1934年Ferguson Smith1)が,また1936年MacCormac2)が今日のkeratoacanthomaの多発型および単発型のそれぞれ最初の例を報告して以来多数の症例が追加され,今日,本症はそれほど稀有な疾患ではなくなつてきた.その臨床的特徴とgrade Iの有棘細胞癌に一致する組織学的所見とから比較的安易に本症と診断される場合が少なくないが,Smithによつて自然治癒することが本症の特徴とされたにかかわらず,その後自然治癒せず癌性変化し,転移を来たし死亡した症例が報告されるにおよび,本腫瘍は果たして良性腫瘍なのか,あるいは癌に属するものなのか,さらにはまた本症と癌とは臨床的に,そして特に病理組織学的に鑑別し得るものなのか,もしそうであるならいかなる差異があるのかなどの問題が議論されてきている.本文ではこれらの点を自験例ならびに文献的記載に基づいて論じ,さらに発症病理学的観点から他の上皮性腫瘍との関連性について検討することにする.
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