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皮膚科領域で外用剤の使用にさいし,基剤および配伍剤の選択が重要であることは論をまたない。墓剤については戦前よりの油脂性膏薬に加えて乳剤性膏薬,水溶性軟膏,さらにplastibase, veriderm (皮脂基剤)など新らしい軟膏基剤が開発され,化粧品に似て,ベトつかず,水で容易に除去でき美容的となつた。しかし皮膚疾患の診療の実地上では油脂性膏薬も捨て難い長所をもつているので,今日では油脂性膏薬と乳剤性膏薬とがそねそれの長所を活かして使用されている。一方配伍剤でも合成corticosteroidがその優れた抗炎症性効果のゆえに賞用され,その誘導体の種類も多く,適応の選択に迷い,一般には基剤によりステロイド軟膏を選ぶことにしている。
Corticosteroid hormoneで局所的使用が有効なのはhydrocortisonおよびその誘導体で,全身的投与に用いられないものも外用しうる利点がある。たとえば,9α-,6α-位置に弗素(F)を有するprednisolone誘導体のうち,fluorometholone,flurandrenoione (抗炎症作用は皮下投与でprednisoloneの15〜20倍),fluocinoloneなどがこれに相当する。Flurandrcnoloneは0.05%drenisolon軟膏(親水性ワゼリン),drenison creamとして湿疹・皮膚炎群,炎症角化症でその効果が認められている。この場合でも塗擦のみでは,強度の浸潤肥厚を伴う慢性炎症性疾患では治療に長期間を要したり,治療に困難を感ずるようになり,Grab(1960),Sulzberger etWitten(1961),Scholtz(1961)によりocclusive dre-ssing technique(O.D.T.)療法が推奨されているが,市販されているサランラップでのO.D.T.療法では運動部(関節部)においては密封に困難を感ずることはよく知られている。また皮膚面との問に空気が入つてだぶつき,密着せず密封効果がおちたり,あるいは悪臭を放つ欠点もみられ,時には接触皮膚炎(サランラップ,絆創膏)が発生するりこれらの副作用・欠点を取り除く方法として局所皮内注射法(hydrocortisone acetate,predonisolone acetate,prednisolone sodium hemisu-ccinate,dexamethasone phosphate)が好んで用いられるが,病巣部が広範囲にわたる時には皮内注射は繁雑であり,疼痛を訴える患者がある。以上の治療法に代るものとしてdrenison-tapeが登場した。このdrenisontapeとは強力な局所性抗炎症作用を有するflurandre-noloneをblenderm surgical tape 1cm2あたり4mcg含有しているのである。Blendermはつや消しした半透明な薄いポリエチレンフィルムで,その表面にアクリール樹脂系の不活性な密着剤を塗布したテープである。このテープは仲縮性,耐水性で,除去が簡単でしかも密着剤が身体に残らない点が特長とされている。このテープは皮疹の形にあおせて貼用されるように台紙に接着されているりこのテープはサランラップを使用したO.D.T.療法に比して操作が簡単である。また掻破,機械的刺激や化学的刺激から皮膚を守ることができる。
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