印象記
8th International congress on Cutaneous Adverse Drug Reactions印象記
小豆澤 宏明
1
1大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学
pp.366-369
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103950
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1. 重症薬疹で,台湾が熱い
鐘文宏(Wen-Hung Chung)先生は,Chang Gung大学の皮膚科医で,これまでにカルバマゼピンによる重症薬疹であるStevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)や中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrosis:TEN)の発症に台湾の漢民族ではHLA*15:02が100%関連することを2004年の『Nature』に報告し,その後,2008年にはSJS/TENの表皮細胞死にグラニュライシン(granulysin)が関与することを見出し,薬疹研究の世界に大きな衝撃を与えた人物である.特に重症薬疹とHLAの関連を見出したことは薬疹の歴史を大きく変える業績であり,薬疹の病態解明ならず,発症予防にも寄与することが証明され,その功績は大きい.実際カルバマゼピンを台湾で処方しようとすると電子カルテに警告が現れHLA*15:02の検査を行ったかチェックしており,副作用のリスクを回避する意味での,オーダーメイド医療が現実のものとなっている.
今回,日本から,杏林大学皮膚科の塩原哲夫教授が率いる薬疹研究班の先生方を中心に多数の皮膚科医が台湾を訪れた.私もその一人として初めてとなる台湾での学会へ参加する機会を得た.私はChung先生と同じ年齢ということもあり,学会や会議でたびたび交流があったので,今回の学会は大変感慨深いものであった.
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