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2006年9月6日,フランス・パリで行われた第7回International Congress on Cutaneous Adverse Drug Reactions (CADR)に参加してきました.ダン・ブラウン著のベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』が,ロン・ハワード監督,トム・ハンクス主演で映画化された数か月後の訪問であり,その主舞台であるルーブル美術館が位置するパリは,その芸術性と神秘性がいっそう華やかさを増している印象でした.例年,秋になると曇りがちになり肌寒くなると聞いて,一抹の不安を抱いて旅立ちましたが,筆者らを迎えたのは雲一つない晴天と,半袖でも汗ばむほどの陽気でした.
さて,このCADRはEuropean Society for Dermatological Research(ESDR)のSatellite Meetingsの一つとして,1994年より隔年で催されています.予定された4人のうち,欠席されたBrunhilde Blömeke教授を除くMaja Mockenhoupt教授,Philippe Musette教授,Jean-Claude Roujeau教授の3人のオーガナイザーにより,今回はナポレオンの遺骨が眠るInvalidesから近いMaison de la Chimieで開催されました.なかでも中心的な役割をされていたJean-Claude Roujeau博士は,パリ第7大学医学部皮膚科の主任教授で,それまで独立した疾患として考えられていたDDS症候群,Carbamazepine induced hypersensitivity syndrome, Alloprinol induced hypersensitivity syndromeなどを統一し,Hypersensitivity syndromeと称する疾患概念として提唱し,これにより薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)という重症薬疹の一型を確立するに至った薬疹の第一人者です.これにとどまらず,中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),Overlap syndrome,Stevens-Johnson syndrome (SJS),を一連の病態として捉え,detachmentの面積による分類を行うなど,業績は枚挙にいとまがありません.現在はその指導力の下で,欧州に薬疹のネットワーク(RegiSCAR group)を作り上げ,薬疹に関し数々のStudyを世界に報告しておられ,CADRそのものも,彼の発声から始まり,今回で7回目を数えるに至っています.
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