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文献紹介 抗p200類天疱瘡における自己抗体の病原性
森下 加奈子
1
1慶應義塾大学
pp.900
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103801
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抗p200類天疱瘡は,1996年に最初に報告された自己免疫性の表皮下水疱症で,臨床症状は緊満性水疱を形成し,蛍光抗体直接法で真皮表皮境界部にIgG自己抗体の沈着,患者血清は免疫ブロット法において200kDa蛋白を認識する.近年,ラミニンγ1が抗p200類天疱瘡の標的抗原であること,さらにそのC末端が主要なエピトープであることが解明された.しかし,今まで抗p200類天疱瘡における自己抗体の病原性ははっきりと示されておらず,この研究で著者らは抗ラミニンγ1抗体の病原性について検証した.
抗体の表皮化水疱形成能をex vivoで評価するcryosection assay法において,抗p200類天疱瘡患者の血清はヒト皮膚に表皮下水疱を誘導したが,抗p200類天疱瘡患者からとられた抗hLAMC1-cterm(ヒトラミニンγ1のC末端の組み換え蛋白)に反応するIgGは,ヒトの皮膚において,水疱を形成しなかった.抗hLAMC1-cterm IgGを除去した血清は免疫ブロット法においてp200抗原と反応し,蛍光抗体間接法では真皮表皮結合部を染色して,水疱を引き起こした.一方で,すべてのIgGを除去した抗p200水疱症血清は表皮下水疱を引き起こさなかった.また,マウスのラミニンγ1C末端を免疫したウサギのIgGはマウスの皮膚において水疱を引き起こさなかった.異なる種類のマウスにおいて,mLAMC1-cterm(マウスラミニンγ1のC末端の組み換え蛋白)を免疫したが,自己抗体を作り出すものの,水疱形成は観察されなかった.
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