Japanese
English
症例報告
催涙スプレーによる刺激性接触皮膚炎―血圧・呼吸・脈拍に異常をきたした1例
A case of irritating contact dermatitis with breathing disorder and increased pulse rate due to pepper spray
山里 志穂
1
,
中井 章淳
1
,
加藤 則人
1
Shiho YAMAZATO
1
,
Noriaki NAKAI
1
,
Norito KATOH
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学
1Department of Dermatology, Kyoto Prefectural University of Medicine Graduate School of Medical Science, Kyoto, Japan
キーワード:
催涙スプレー
,
カプサイシン
,
呼吸・循環機能
,
刺激性接触皮膚炎
Keyword:
催涙スプレー
,
カプサイシン
,
呼吸・循環機能
,
刺激性接触皮膚炎
pp.476-478
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103686
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要約
51歳,男性.帰宅途中の路上で何者かにスプレーを顔面に噴射された.顔面,両上肢,胸部に激しい疼痛が生じ,警察官に付き添われ,当院に来院した.診察時,顔面と上半身の露出部に紅斑とともに橙色の付着物がみられた.患者はせん妄状態であり,血圧上昇,頻呼吸,頻脈も呈していた.ステロイド(コハク酸メチルプレドニゾロン,ソルメドロール®500mg)の点滴と鎮痛薬(ペンタゾシン,ソセゴン®15mg筋注;フルルビプロフェンアキセチル,ロピオン®50mg点滴)の投与を行った後,受傷した皮膚と眼を洗浄した.紅斑部にステロイド(クロベタゾールプロピオン酸エステル,デルモベート®軟膏)を外用し,観察入院とした.付着物を警察の鑑識に提出した結果,主成分はカプサイシンであり催涙スプレーによる刺激性接触皮膚炎と診断した.カプサイシンの薬理学的作用と高度の疼痛のため意識状態や呼吸・循環機能に異常をきたすことがあり,対応には注意が必要である.
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