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文献紹介 転移性メラノーマにおいてイピリムマブは生存率を向上させる
福田 桂太郎
1
1慶應義塾大学
pp.426
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102958
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StageⅣのメラノーマは,平均生存期間が9か月と極めて予後不良である.今までにダカルバジン(DTIC)と比較して有意に優れた生存率を示した第Ⅲ相臨床試験はなく,約30年間,DTICが第一選択薬として用いられ続けているが,その有効期間中央値は4~6か月にすぎない.現有の化学療法には限界があり,新たな治療戦略を考案する必要がある.
癌細胞は,増殖の過程で免疫抵抗性や免疫抑制性を獲得する.イピリムマブ(Ipil)はT細胞表面上のCTLA4に結合して細胞傷害性Tリンパ球の活性化の制御を解除し,免疫でがんを排除させる薬剤である.第Ⅱ相臨床試験で,Ipilはメラノーマ関連抗原gp100のワクチンとの併用にて56例中7例(13%)にCR,PRが得られ,7例中5例に効果が24か月以上認められたことから,第Ⅲ相試験へと進んだ.本論文は13か国共同で行われた第Ⅲ相試験の結果である.
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