Derm.2011
表皮細胞は変わっている?
久保 宜明
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野
pp.97
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102927
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2003年にヒトゲノムの解読完了が宣言されてからもう8年が経過し,ポストゲノムと呼ばれ遺伝子の機能解析の重要性がいわれて久しい.遺伝子の機能解析が容易でない要因の1つとして,各遺伝子の機能や働きの重さが各臓器・細胞で決して一様ではないことが挙げられる.
表皮細胞では,膀胱・子宮頸癌や骨髄腫などで発癌に関与するFGFR(線維芽細胞増殖因子受容体fibroblast growth factor receptor)3の活性化が,皮膚癌ではなく良性腫瘍の脂漏性角化症でよくみられる.脂漏性角化症は皮膚癌の発生母地になりうるが,決して前駆病変ではないことから,表皮細胞でのFGFR3の活性化は,癌化とは異なる方向へベクトルが働くのだろう.
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