Derm.2010
皮膚科医の診療鞄
村田 哲
1
1自治医科大学皮膚科
pp.90
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102606
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大学を卒業して皮膚科に入局したとき,買ったのは2,000円のルーペだった.ピーク・ルーペ10倍1961.下から半分が透明になっている円筒形のネガフィルム検査用ルーペである.うまく使いこなすにはコツがいったが,慣れると診療に欠かせない必需品となった.いつも白衣のポケットに入れて使っていた.約20年間.リングフラッシュとマクロレンズ,一眼レフカメラ以外,ほかに道具は必要なく,その後はもっぱら本や雑誌ばかり買いそろえ,診療に必要な機材を個人で買うことはなかった.
ところが,今はそのルーペはどこかにいってしまった.3GenのDermLite II proを買ってからだ.全く別世界だった.その明るさ,鮮明さは衝撃的だった.完全にピーク・ルーぺに取って代わってしまった.次に,DermLiteの写真を撮るためのカメラを買った.DSC-W300.ソニーの発色は気に入らなかったが,このサイズでマニュアルモードで撮影でき,ワンクタッチでDermLiteを脱着可能で,接写用LEDリングライトも使用できる.これらをバッグに整理して外来,外勤先に必ず持ち歩くようになった.最近は年齢的に視力が衰え,暗いところでの診察はつらくなったが,このカメラを片手で皮疹に向けフラッシュ撮影し,それを液晶で拡大して見ることにより,暗い病棟の患者や観察しづらい部位の皮疹の診断に使え意外と重宝している.
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