特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき
9.高齢者の薬物療法の一般的注意
③循環器用薬(降圧薬,抗狭心症薬,抗不整脈薬)
西永 正典
1
,
小澤 利男
1
1東京都老人医療センター内科・循環器科
pp.155-159
発行日 1998年4月30日
Published Date 1998/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902715
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I.降圧薬(表1)1)
近年,高齢者高血圧に対する降圧薬の効果について,欧米の大規模試験の結果が相次いで報告され,その有用性が認められた。すなわち,拡張期高血圧では,脳卒中をはじめとして心・脳血管障害の発生が抑制され,さらに高齢者に多い収縮期高血圧に対しても,降圧薬投与によって心・脳血管障害の発生が抑えられた。このことから,高齢高血圧患者に対しても,若中年患者と同様に降圧薬の使用の意義がある。
高齢者で第1選択として用いられる降圧薬は,降圧利尿薬,カルシウム拮抗薬,ACE阻害薬,β遮断薬である。どの降圧薬を用いるかは,患者の年齢や合併症の有無などにより決められる。ただし,高齢者では利尿薬やカルシウム拮抗薬は,ACE阻害薬,β遮断薬と比べて降圧効果が若干大きいともいわれる2)。
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