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IgEとアレルギー性鼻炎—クラススイッチから遺伝子治療の可能性まで
藤枝 重治
1
1福井医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.424-432
発行日 2002年6月20日
Published Date 2002/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902574
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はじめに
アレルギー性鼻炎の病因抗原の大部分は,花粉やダニなどの吸入系抗原である。吸入系抗原に対するIgE抗体の多くは,Fcεレセプターを介して肥満細胞や好塩基球の細胞膜上に固着している。IgEが固着した肥満細胞や好塩基球は鼻粘膜に広く分布し,抗原が鼻腔より吸入されると抗原特異的IgEと結合しIgE同士を抗原を介して架橋させ,それにより細胞内シグナルが作動し,ヒスタミンを代表とするケミカルメディエイターを放出させ,くしゃみ,鼻汁,鼻閉を引き起こすとされている。現在まで,抗原特異的IgEがどこで,どのようにして産生されるかについてはよくわかっていない。
本稿ではIgEへのクラススイッチ機構や鼻粘膜に存在するIgEの産生および供給,臨床的意義,IgEに限定した治療戦略,とりわけ遺伝子治療の可能性に関して述べる。
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