トピックス めまいの治療
2.経中耳薬物投与
山下 裕司
1
1山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.101-105
発行日 2002年2月20日
Published Date 2002/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902483
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はじめに
現在行われている内耳疾患に対する薬物治療は,主に全身投与である。しかし,内耳への移行やその治療効果についてはEBMに乏しく,内耳疾患の適応をもつ薬が少ないのが現状である。一方,神経科学研究の進歩により,内耳疾患に対する新たな治療薬の開発が期待されるようになった。これらの新しい薬物は,全身投与が困難な薬物が多い。したがって,薬物を内耳へ直接投与する方法として,従来から行われている鼓室内投与法などの経中耳薬物投与が再認識されている。
本稿では,鼓室内投与法について概略を説明するとともに,最近米国で開発された内耳への薬物輸送システムによる持続的投与法について紹介する。また,内耳への直接的薬物投与の臨床効果を判定するための動物モデルを紹介し,内耳疾患の新たな薬物治療の可能性について言及する。
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