鏡下咡語
補聴器適合運動8年—難聴当事者の声と共に
野田 寛
1
1琉球大学医学部耳鼻咽喉科学講座
pp.368-369
発行日 2001年5月20日
Published Date 2001/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902367
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はじめに
1996年4月,「鏡下囁語」に書かせて戴いたように,当地沖縄県で補聴器を適合させる啓蒙活動に本格的に取り組み,ほぼ8年が経過した。
当初は,ただ補聴器不適合で難渋している難聴者の補聴器を良く聴こえるようにしてあげたい,補聴器不評のため拒否している難聴者に良く適合した補聴器とはどんなものかを知ってもらいたい,そしてそれにてより良き人生を歩んでほしいとの気持から始めた運動だったが,のちにこの補聴器問題は高齢化社会に増加し続ける難聴高齢者のコミュニケーション障害をもたらし,社会・家族よりの孤立から,人生の享受不能,自立不能と,人生を全うできなくなり,ひいては寝たきり・痴呆に繋がる大問題であり,老人医療費・介護費に直結する問題であることを認識させられ,その重大性に震感とさせられている。
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