特集 全身疾患と耳鼻咽喉科
Ⅱ.神経症状および神経疾患
4.神経疾患とめまい
廣瀬 源二郎
1
1金沢医科大学神経内科学教室
pp.62-67
発行日 2000年4月30日
Published Date 2000/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902152
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はじめに
めまいは,前庭系,視覚系および体性感覚系内のアンバランスに基づく平衡感覚の錯覚による症状と考えられる。頭部・身体の動きに対し,あらかじめ計算された遠心性コピーによる情報と実際に平衡感覚を司る前庭系,視覚系および体性感覚系で処理された情報とが脳内でうまく合致しないために起こる自己矛盾を,過去の経験により学習された平衡感覚と比較して苦痛と感じるわけである。そのため,めまいは内耳のみならず,頸部の傍脊柱部深部にある伸展受容器,脳幹・小脳にある視覚・前庭系相互情報統合センターや,さらに高位の主観的感覚中枢としての視床,大脳皮質の障害で起こる。内科領域では,中枢神経系内,特に脳幹障害をきたした場合の患者が多いため,耳鼻科のめまいと異なり回転性めまいのみならず,他の脳幹症状を合併することが多く,また天幕上や血圧,脈拍を含む全身症状がみられる。これらの相違点を強調して述べたい
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